【理系におすすめ!】博士の愛した数式/小川洋子【愛】
博士の愛した数式
この作品は第55回読売文学賞と第1回本屋大賞を受賞しています。
また、2005年に新潮文庫で発売後2か月で100万部達成したベストセラーの小説です。
なぜこの本を読んだのか
単純に「数式」という言葉に惹かれました。
また、今までに数学を題材とした小説を読んだことが無かったので読んでみました。
こんな人におすすめ
- 感動する物語が読みたい
- 数学や算数が少しでも好きだった
登場する数式は小説内で分かりやすく解説されています。
なので数学が苦手という人でも楽しむことができるでしょう。
序盤のあらすじ
博士との出会い
「私」はあけぼの家政婦紹介組合から「博士」のもとへ派遣された。
博士は交通事故の後遺症で記憶が80分しか持たないと伝えられた。
それ以外の記憶は1975年で終わっている。
つまり、会うたびに初めましての状態に戻ってしまうのだ。
数字の意味
私が博士のもとに訪れるたびに靴のサイズや電話番号についてたずねられた。
そしてその数字について真剣に解説するのだ。
博士は数字を通じて人と繋がりあうという癖があったのだ。
私は、靴のサイズの24は4の階乗(4! = 4×3×2×1 = 24)というように数字には特別な意味を持つことを意識するようになった。
博士とルートの出会い
ある日、私は10歳の息子がいることを博士に伝えた。
博士は大の子供好きであるため、一人で留守番させていることに激怒する。
博士の説得により、次の日からは息子も博士宅へ行くことになった。
博士は子どもを「ルート」とよんだ。
博士はルートと出会うたびに頭をやさしくなでるのであった。
3人の愛に満ちた日常が始まった。
【微ネタバレ】ここが面白い!
数字のトリビア
博士は数字に関する膨大な知識を持っています。
主人公の「私」の身の回りの数字に意味があるように、読者にまつわる数字の意味も考えたくなりました。
私の誕生日は10月26日なので1026について考えてみた。
1026 = 2×33×19
約数の和は2400でした。きりがいいですね!
他にも考えましたが思いつきませんでした…
調べてみると1026 = 322+2 = (52+2)(62+2)という性質がありました。
1026自体とその因数がn2+2で表せる数として2番目の数でかなりレアらしいです。
このように数字は1つ1つが特別なもののように思えてくる小説だと思いました。
博士とルートの関係性
博士は80分しか記憶が持ちません。
なのでルートが小学校から帰ってくるといつも初対面となってしまいます。
博士は服にルートの存在をメモしているので存在自体は知っているものの、ルートの特徴などは忘れてしまいます。
博士は初対面の子どもでも我が子のように接するため、ルートはすぐに博士のことが好きになりました。
逆にルートは博士が記憶をなくすとしても、1日1日が最大限楽しくなるように毎日を過ごすのでした。
2人の共通の趣味である、野球を通して仲良くなる場面も多数ありました。
数学と野球で結ばれた2人の愛にあふれた関係性に心を打たれました。
未亡人の謎
週末、「私」の家政婦の仕事が休みの間は未亡人である博士の義姉が博士の世話をしています。
「私」の家政婦の契約では未亡人の住んでいる母屋へ立ち入ってはいけないことになっていました。
なぜこのような契約になっているのか、博士との関係については物語内でほのめかされています。
しかし断定はされていないので読者が想像することになります。
2006年公開の映画版「博士の愛した数式」ではそのあたりの設定がほのめかされています。
考察しながら読み進めて、映画を見て答え合わせをすると楽しいのではないでしょうか。
最後に
数学を題材にした小説なので理系なら抵抗なくサクサクと読めるのではないでしょうか。
数学が苦手な人でも、難しい話は出てこないので楽しめると思います。
とにかく愛のある関係性に心が温まりました。
SNSで感想をシェアしてね↓