【感想】「一瞬の風になれ」/佐藤多佳子【青春っていいね】
一瞬の風になれ
この本は2007年に第4回本屋大賞を受賞した作品です。
第1部「イチニツイテ」、第2部「ヨウイ」、第3部「ドン」の3冊からなる長編の物語です。
なぜこの本を読んだのか
私が中学生のころ2冊目まで読んだところで読書感想文を書きあげてしまったため、その時にはすべて読んでいませんでした。
当時の私には長すぎたため読み切っていませんでしたが、今なら楽しんで読むことができました。
本を購入した当時は、挫折しながら成長していく主人公の話が読みたいと思っていました。
そこで知恵袋で勧められたのでこの本を選びました。
こんな人におすすめ
- 部活などでスポーツに打ち込んでいた
- 挫折したことがある
- 高校生の青春を感じたい
部活でスポーツに打ち込んでいた人ならだれでも共感できる作品なのではないかと思います。
特に陸上競技をやっていた人には刺さるのではないでしょうか。
【ネタバレなし】あらすじ
サッカーをあきらめた
主人公の神谷新二は、天才的なサッカーの才能を持つ兄の神谷健一に憧れていた。
中学まで新二もサッカーをやっていたが自分の成長に限界を感じていた。
兄はこれまで通りに努力すればいつか必ず大成すると信じてくれたが、その期待が新二を苦しませる。
いつの間にか大好きだったサッカーが楽しめなくなっていた。
忘れられない走り
高校は親や兄からサッカー強豪校を勧められたが、地元の春野台高校に入学することになった。
体育の最初の授業は50m走だった。
幼馴染の一ノ瀬連と同じ組で走ることになった。
連は中学2年生のころではショート・スプリントで有名な選手だったようだ。
しかし、部活の体質に合わず3年の大会には出ていない。
高校でも陸上部に入るつもりはないみたいだ。
新二は連がすごい選手だということを知っていたが、実際にそれを見たことはなかった。
信じられない走りだった。
全くついていけなかった。
新二は言った。
「おまえ、陸部、入れ」
「新二も走る?」
何気なく言われたその一言で、いつか連のような走りをしてみたいという希望が胸に刻まれた。
春野台高校陸上部での3年間が始まった。
【微ネタバレ】ここが面白い!
主人公の成長
主人公は高校から陸上競技を始めた初心者です。
はじめからある程度速く走ることができましたが、走るフォームやレース展開がバラバラでした。
練習や試合の反省や先生からの指導を吸収していく過程が丁寧に描かれています。
上手くいかなかったときの悔しい感情や、練習以上にタイムが早かった時のうれしさに心を打たれました。
また、主人公の精神的な成長も感じられます。
主人公はサッカーでこれ以上の成長は想像することができませんでした。
陸上の大会ごとの心情の変化に注目して読むと面白いと思います。
仲間の成長
仲間の成長も感じられます。
特に幼馴染の一ノ瀬連とショート・スプリントの谷口若菜の成長が丁寧に描かれていました。
一ノ瀬連は走りの内容では主人公を引っ張っていきます。
しかし、食生活や練習内容は主人公に引っ張られるという持ちつ持たれつの関係です。
この二人が一緒に成長する姿を見て、とても応援したくなるような気持ちになりました。
谷口若菜は自信がなくはっきりと物を言えない性格なのですが、陸上部とともに成長していくことになります。
4継(リレー)
4継とは4×100mリレーのことです。
春高陸上部は人数不足で、ショート・スプリンター以外の選手も4継に出場します。
大会ごとに息があってくる様子や、選手の心情が非常に面白いです。
最後に
この小説で、部活の雰囲気や楽しさを思い出しました。
ときに苦しいこともあるけれど結果が出るとそれ以上にうれしい。
(結果だけじゃないけどね)
そんな小説でした!とても面白かったです!
まだ読んだことがないという人はぜひ読んでみてください!
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