【有機化学】芳香族とは?判定法を解説します!【ヒュッケル則】

2023年08月23日 更新日:2024年02月06日


ドラ猫

今回は意外と難しい芳香族について解説するニャ


今回も「ウォーレン有機化学」を参考にして記事を作成しています。

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芳香族とは?


芳香族とはベンゼンなどのある一定の特徴を持った不飽和環状化合物のことです。

このある一定の特徴によってほかの類似の化合物と比べて圧倒的に安定化されています。


例えばシクロヘキセンの還元には120kJ/mol必要です。

しかし、ベンゼンを完全に還元するために必要なエネルギーはたったの206kJだということが分かっています。




ヒュッケル則


ヒュッケル則を使うと芳香族かどうかを判定できます。

その方法を以下に示します。


①環構造となっている。

②環を構成する原子すべてがp軌道を持つ(空でもよい)。

③π電子の数が4n+2個である。


ここに示した法則は厳密ではないですが9.9割の化合物で当てはまるので覚えてしまいましょう。


ヒュッケル則の中でも特に③が重要です。

①と②はたいていの場合は見ればわかります。

しかし、π電子の数え方にはコツがあります。


π電子の数え方


π電子とは?


エチレンにはσ結合とπ結合があります。

π結合に使われている電子がπ電子です。




ベンゼン


ベンゼンのすべての炭素原子はsp2混成軌道を持ちます。

そして、p軌道にも1つ電子が入っています。

なのでπ電子数は6個でヒュッケル則を満たします。

つまり、ベンゼンは芳香族と分かりました。




ここで大事なのは二重結合を含む炭素はσ結合と垂直にπ結合があるので、必ずπ電子が存在するということです。


インドール


先ほどと同じように二重結合を作る炭素にはπ電子が1個づつ含まれます。

数えると合計8個でした。


なのでヒュッケル則は満たさない…?

いいえ、満たします。


インドールの窒素はsp2混成軌道で、p軌道には2電子のπ電子(非共有電子対)が入っています。

したがって、10電子なので芳香族であることが分かりました。


ここで注意してほしいことは、通常のアミンはsp3混成軌道で正四面体型の電子配置です。

しかしインドールの場合はsp2となることで芳香族になって安定化できるので、多少エネルギー的に不利でも軌道の形が変わります。




α-ピロン


先ほどと同じように数えます。

酸素原子はsp2混成軌道を持ち、p軌道にはπ電子が2つ入っています。

するとπ電子数は7個となります。


これでは不安定なので、カルボニル炭素のπ電子が酸素へ非局在化します。

すると炭素のp軌道が空となり、π電子数が6となりました。

したがって、芳香族であることが分かりました。




アデニン


最後にアデニンを見ていきます。

窒素の二重結合も炭素と同じようにπ電子は1つ含まれます。


今まで通り数えると10電子となります。

したがって、これは芳香族です。




最後に


芳香族の単元は軌道や非局在化の概念が分かっていないと理解できないので、難しいですよね。

私も良い復習になりました。


何か間違いやアドバイスなどがありましたら、ぜひX(ツイッター)やメールで教えてください。

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最後までご覧いただきありがとうございました!


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